探偵とは

探偵というのは、大辞林によると、「他人の行動・秘密などをひそかにさぐること。また、それを職業とする人」「敵の機密やない状をさぐること。また、その役目」を掲載されています。子供の頃、あるいは大人になっても尚…という方もいらっしゃるかもしれませんが、この探偵という職業に、その思いの強さはどうであれ、憧れを持ったことがある方はいらっしゃると思います。私もその1人なのですが、推理小説や漫画、もしくは映画やドラマ…などに登場する探偵というのは、決して表に出ることのないどこかアングラ的な雰囲気と、そしてスパイのような活躍ぶりは、日常では出会うことのないスリリングさがあって、どこかドキドキする気持ちが起こっていました。警察などの権力のない者が、通常であれば知られることのないことを調べたり、または隠された真実を暴いたりするのがまた良いんですよね。

探偵というと、シャーロック・ホームズの印象が強すぎて、イギリスが初めて探偵という職業を生み出したように思ってしまいます(シャーロック・ホームズは架空の人物ですけど)イギリスでは、小説家であり治安判事でもあったヘンリー・フィールディングという人物が、1748年にイギリスのロンドンのボウストリートに探偵事務所を作ったといわれていますが、しかし、この探偵事務所は、国家組織が土台となっているものだったので、現在で定義されている探偵とは少し違います。1833年、民間の捜査機関としてフランスのフランソア・ビドックが探偵局を創設しましたが、社会の闇に隠されている部分の捜査能力に長けていたものの、このフランソア・ビドック氏は、実は犯罪人でもあったため、これもまた、現在でいう探偵とは違います。現在のような、誇りを持つ1つの職業とした全うな真の探偵は、1850年に私立探偵局を創設した、アメリカのアラン・ピンカートン氏です。アラン・ピンカートン氏は、元はアメリカの秘密諜報機関の長官であり、優秀な知能と、手堅く敏速で大衆的な仕事ぶりに、あっという間に評判がひろがって、名声を得るようになりました。このアラン・ピンカートン氏創設の探偵事務局は、事務所のマークとして、眉のついた人間の目の部分を使用したことにより、それ以降、そのマークは私立探偵のシンボルとなりました。現在でも、アメリカでは、私立探偵のことを、The private eyeと呼ぶこともあるようです。

日本では、江戸時代に、同心・岡引きが探偵方と言われていたのもあり、明治時代に入ってからも、巡査や刑事が探偵と呼ばれていました。しかし、明治20年代に、いわゆる私立探偵が登場したことで、徐々に、警察関係者を探偵と呼ぶことはなくなっていったのです。日本での私立探偵は、明治28年…1895年に、岩井三郎氏が、東京の京橋に探偵事務所を開いたことが始まりだと言われています。ただ、アメリカの探偵とは異なり、ピストル携行権がなかった他、限られた区域内での捜査権というものもありませんでしたので、当時の探偵の活動範囲は非常に狭いものでした。そしてその頃の探偵は、財政調査・素行調査・信用調査…などを中心に行っていたそうで、フィクションの物語に登場する探偵の活動ぶりというのは、全くみられませんでした。…そう考えると、日本でのフィクションに登場する探偵というのは、日本国内の話でありながらも、アメリカの探偵の方がイメージに近いのかもしれませんね。

現在でも、探偵という職業は存在します。どの街にも存在する探偵事務所や調査事務所、興信所などに勤めている調査員や相談員が、正に探偵の活動そのものです。ちなみに、調査員というのは、実際に依頼を調査する(尾行や聞き込み・張り込みなど)者で、相談員というのは、依頼者に実際に会って対応する者を言います。ほとんどの興信所では、調査員と相談員は別の人物です。やはり、調査員という仕事の性質上、依頼者と直接顔を合わせるよりは、直接依頼者と対応する者と、実際に調査する者とは分けた方が、円滑に進んでいきます。もちろん、調査員も相談員も、どちらも興信所等には必要な存在ですし、どちらも探偵です。当然、フィクションの物語に登場する探偵ではありませんから、国家機密を調べあげたり、罪を犯した犯人を捕まえるようなことはしません。探偵は、民事事件における証拠の収集や、家出人・失踪者を探したり、個人・法人の信用調査…などが主な活動内容として挙げられます。